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「お兄ちゃんの言ったとおり、ちゃんと一緒に居たんだけどな…
“重い”って言われちゃった。」
「ああ…なんか、ごめんな?」
俺は、決まり悪くてへらへらと謝った。
「でも…。」
妹は本当に少しの間、
きゅっと唇を結ぶと、ぱあっとなにかを振り切って言葉を続けた。
「そのお兄ちゃんが結婚出来るんだから!
私も出来るよね?パパ!ね?ママ!」
きらきらと開き直った妹の声に、
父と母は、なんかのおもちゃみたいに“うんうんうんうん”と頷いていた。
そんな二人を見ながら、
こんな妹を捨てた男は、馬鹿なことをしたな…なんてことを思った。
次の日曜日には、彼女を連れてまたここへ来るつもりだ。
彼女は、この高い塀をどう思うだろうか…。
でも、家族に会えば…きっと…。
「ただいま!」
「おかえりー、お兄ちゃん…お義姉ちゃん!」
…妹は、今も家族の中心だ。
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