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「あれってさ、お兄ちゃんの恋人のことだったんだよね。」
「知らねーよ。」
あんなふうに言ったけど、当たりだ。
就職して初めて出来た恋人に振られて…
一人ではいたたまれずに、実家に帰ったときに話したことだ。
大好きだったから、
大切にし過ぎて…彼女が悩んでることにも気付けなかった…
最後は、“恋人なのに、どうして抱いてもくれないの?”って道端で泣かれたっけ。
確かに、今思えばおかしな話だったかもしれない。
大人の恋人同士だっていうのに“大切”の意味を履き違えて…。
ちょっとした愚痴みたいなもんだったけど、
あのときのこと…覚えていたんだな。
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