いもうとしゃべる

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小さな子供のすることだ、 いつかは埋めたことも忘れるだろう…そう思っていた。 だが、妹は少し違っていた。 “それ”をあくまでも“収納”として使っていたのだ。 天気も時間も関係ない、 必要になれば、何度だって掘り出して、また埋める… 場所がわからなくならないように、 拾ってきた小石で花壇みたいな囲いまで作っていた。 「うちのお庭は、まるで真理ちゃんの金庫ね。」 そう言った母を真似て、妹はよく 「ここね、真理の金庫なのー!」と言っていた。 俺が「不用心な金庫だな。」 と呟くと、 父に頭をコツンとされて、その度に皆で笑うのだった。 妹は、家族の中心だった。
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