いもうとしゃべる

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最初は面白いと思っていたことも、 “中学生になってもまだ”…となると、話は別だ。 未だに庭を掘り返す妹に、正直、両親も俺も困っていた。 塀があるとはいえ、近所の目も気になる。 母親ほどに伸びた身長は、他人が見ればもう大人だ。 そんな大人がこんなことをしているのを見られては、 いずれおかしな噂がひろがって… 辛い思いをするのは、妹なのだ。 小さいうちはかわいいと思える行為でも、 いつかは奇行や狂気と呼ばれる日が来るのだから。 「なあ…いいかげん、そういうのやめろよな。」 「どうして? お兄ちゃんが教えてくれたことじゃない。 あれから私、物をなくしたことがないの。 だから、 お嫁に行くときは、お庭のあるお家を持ってる人を選ばなくちゃいけないわね。」 そう言って笑う妹は、やっぱりまだ子供だ。 「…勝手にしろ。」 「そうするもーん。」 まったく、困ったやつだ…。
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