いもうとしゃべる

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それは、何ヵ月経っても変わらなかった。 「真理は?」 「同じよ。 本当に…どうなっちゃってるのかしら。 “あれ”以外はちゃんとしてるのよ? 成績もいいし、学校でも人気があるって先生がおっしゃってたもの。」 そして、何年経っても…。 「どう?」 「どうって…。それよりね、真理の就職のことなんだけど…。」 両親は、妹の“癖”を諦めたようだ。 “それ”以外は、容姿、能力ともに良く…なにも困ったことがないからだ。 …なにが“困ったことがない”だ。 俺に出させた金で、なにを作った…? …久し振りに帰った実家は、異様なほど高い塀に囲われていた。 もちろん、妹の行為を隠す為にだ。 そのあとも、 リフォームの名目で両親から費用の相談を受ける度に、それは形を変えていったんだ。 それから数年… 俺はある報告を持って、 近所の小学生に、“要塞”と呼ばれるまでに変貌した実家を訪れた。
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