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また晶が消えてしまう。
再燃した炎は消えようとしない。
「晶。」
何度も名前を呼んで存在を確認する。もう置いていかないで。
その一言を口にしてしまいそうになる。
「加奈子。一つだけ約束して欲しい。」
私を胸に抱き、顔を見せない。晶の鼓動が聞こえる。
「もう一度ここへ来る。
それから、あいつのことは忘れてくれ。」
日を改め博人に会いに行くと晶が言った。
「博人のことはもういい。
晶が……晶が私を……
今度こそ連れて行って。」
置いていかれるのはもう耐えられない。博人と私の罪は消せない。
晶と博人の罪は、赦したい。
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