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 紙を千切るのが好きだ、角と言えば脆いもの、どんなものでも全ての部位で比較的に鋭いものだ、逆に曲げて行くのが堪らなく、言ってみればだが原形を崩す行為が背徳を帯びたり、若干の後悔と、完全に折れて紙と紙が達す経過に脆さを加えると、するに如何か、背筋に走る電撃が頭蓋骨を分解して脳味噌を焼き切る、途端目玉が横転して真っ白な世界を意識の間隙に追い縋り、幾重にも編み込まれた価値と意味が量子にまで四散、粉砕された感覚がするものだ。  もし、角から腹に当たる中央に目を向けてみよう、如何か、これは角より柔らかさと張り詰めた硬さがあるのではないか、と、ふと手元にある鋏の切っ先を当ててみるのだが、両端を押さえた紙の平面に易々と切っ先は刺さるものではなく、力を強くすれば紙が沈むように押してはいたのだろう、もっと加え、力一杯押し込む、硬さが不意に消えて、紙が破け貫通する。するとどうだろう、先刻まで存在した、確かに右手と左手にあった抵抗感がすんなり消失したではないか、やれ紙とは一定まで堅いが、鎧がなくなればこうに易いのか、疑問もあったが、刺さると下ろしてみたくなって本能に任せ、やってみる、簡単に深々と裂き口は広くなった。
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