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 ドラム缶の中に竹の枯れ葉を摘め、枯れ木を入れ、最後は良く燃え上がるように灯油を入れ、ライターで引火させた枯れ葉を投入する。瞬く間に業火が穴から沸き上がり、錆びたドラム缶の赤錆より濃くも淡い揺らぎで熱波を肌に押し付けて来るが、構わず荷台から紙を取り、投げ入れた。一瞬火は消えたかのような所作を与え、心配になるが、前回そのままドラム缶を覗き前髪を焼かれたので見守った。数十秒かして、がうっと獣の吠えの如き轟音に伴い、火柱が上がる。紙片が周囲に飛び散る勢いの炎に、数十分は紙を入れ続けた。  十八か、二十七回か、した、嫌気が差して荷台に積まれた紙を両手に抱え、投げ入れる。すると如何か、火が消え、ドラム缶が咳払いをした。灰を吐く様に、灯油を追加して、また火種を入れる。再度火が増すには時間を要し、不完全な焼け方からか臭いを吐瀉するドラム缶がやけに紙っぽく、笑いさえしたくなった。数時間かしただろうか、最後の紙を入れ欠伸をする。  空には憂鬱な金の目玉がぎょろぎょろ見下して来やがっていたのだが、前回ではにやにやしていた分、見られているならその程度のもので繊細には遠い物事に思える、時に、そろそろお腹が空いて来た、紙は元々を辿れば生物の一種である、物質で出来ていて、食べるにはどうにも鮮度がなく口当たりは悪いのだが、それでも案外あの物理の抜けた食感を好み、こんな日には余りを啄むのだが。
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