二章

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 ______違う!嫌じゃなくって。  「いえ! 緊張はしますけど。 いやじゃ______」今度は私のほうから彼女の手を握ってしまった。 なにをやっているんだ!? 恥ずかしくって、 自分でわかるくらいに顔が火照って、 手が汗ばむ。  「いやではないんだ」  恥かしさで声が出ない。  ______調子が狂うよ。  今の私には難しいやり取りだ。 彼女でなければ、 きっと拒絶している。  「こういうのはね。 慣れなの」  「慣れ……ですか?」  「そう、 慣れです。 じゃあね、 慣れるためにこのままで______ちょっと向こうに行きましょう」お姉さんは私と手をつないだままで、 湖畔沿いの波止場まで歩いた。 途中ですれ違う人の視線が痛い。 踏んだり蹴ったりだ。
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