二章

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 「あなたについては所長さんから教わっていたの」おねぇ・・・・澪さんは察するのが早い。  「所長って、 清浄所の所長ですか? 」  「ええ。 あの黒い傘を観て欲しいと頼まれたのですが、 その時にわたしからあなたについて伺ったのです。 もし……それでご気分を害されたのなら、 ごめんなさい」澪さんはさっきよりも深々とお辞儀をした。  「い! いえ! そんな、 澪さん。 頭をあげて下さい。 気分なんて害してないですから!」澪さんに気分を害するなんて。  「本当に?」  「本当です」  「……よかった」澪さんは、 ほっとしたような表情を浮かべた。 ひょっとすると、 私を呼び止めたのはこのためにだったのだろうか。
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