二章

51/60
前へ
/422ページ
次へ
 「所長は、 なんて言っていたのですか?」  「自分では瘴気が有るようには観えなかったと、 おっしゃっていました。 でも、 栗原さんが感じ取った違和感というのを、 信用されていたのでしょうね。 なにかが有るはずだと、 わたしを呼んだのですから」  「澪さんは、 どうしてあの黒い傘の影に気づいたの?」  澪さんはうーんと唸って考えたあとに「______偶然ね。 たまたまが重なったのかしら。 でもね、 あなたが居なければ。 その偶然にもきっと巡り会えなかったでしょう」  私が居なければ、 か。 私はそんなに大層なものじゃないんだけどな。 居ても居なくてもおんなじ、 空気みたいなモノ。
/422ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加