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「所長は、
なんて言っていたのですか?」
「自分では瘴気が有るようには観えなかったと、
おっしゃっていました。
でも、
栗原さんが感じ取った違和感というのを、
信用されていたのでしょうね。
なにかが有るはずだと、
わたしを呼んだのですから」
「澪さんは、
どうしてあの黒い傘の影に気づいたの?」
澪さんはうーんと唸って考えたあとに「______偶然ね。
たまたまが重なったのかしら。
でもね、
あなたが居なければ。
その偶然にもきっと巡り会えなかったでしょう」
私が居なければ、
か。
私はそんなに大層なものじゃないんだけどな。
居ても居なくてもおんなじ、
空気みたいなモノ。
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