二章

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 「実はね。 所長に無理を言ってあの傘を、 借りてきているの」肩に掲げたカバンを揺さぶった。  「傘を!? そんなこと」  「万が一の処置はした上だから、 大丈夫。 それで、 この傘の送り主に会いに行こうかと考えているのだけど_____」  「送り主ってことは、 それって、 つまり常世に行くということですか?」  「そう。 ツムラさんという方がこちら側に送付されたそうです。 その方ならこの傘の事情を多少でも知っていらっしゃるやも知れません。 でも、 その前にこの傘がどこに送られるはずだったのか、 ということを調べてからね」  「そうですか」  そういえば、 あの傘に縫われた名字は津村だった。
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