二章

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 「なんだ?」  「あの傘なんですが」  「あの傘か。 どうなった、 届かなかったのか?」届くことはけして無いということはわかっていた。 事前に調べた限りでは、 あのメモに書かれた住所は今は更地になっているからだ。  宛先不明で返却されて、 焼却処分。 それで、 おしまい。  「それが______」  ディスプレイが副官を写す。  ______これは果たして、 本物なのだろうか?  そう疑問を感じた瞬間。 首筋に冷たい汗が流れた。 消却の瘴気によって失った視力。 それを補うためのデバイス、 道具。
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