二章

59/60
前へ
/422ページ
次へ
 「ざけやがって」おとなしく報告書を読んでいると、 あの傘は瘴気汚染とはまた違った異常が判明したために、 送り先への郵送を取りやめにしたという。  言いようの無い、 不気味なモヤが男の胸にかかる。  先日にあの傘を男に渡した、 男性の正体がわかっていない。  何者だったのか。  常人は一日とて居られない、 あの深度あの瘴気が漂う森からやって来て、 そしてまた森へと帰った男性。  そんなモヤを抱え、 報告書を読み進める。 最後まで読み終えると、 男の気配が曇った。  「おい。 どういう事だ!? なんでそういう事になってんだ」  「まぁ、 そうですよね。 それでですね______」副官は他人事のように淡々と説明する「その報告書とは別にですね。 霞ヶ浦清浄所の所長から渡航果に宛てて、 栖経由での渡航要請書が届いていまして。 なんでも、 あの傘の経路を辿りたいそうで」  「観光じゃねぇんだぞ・・・・誰が来るんだ?」  「例の人と・・・・それと」   ______こっちに来んのか。 あの御方は喜ぶだろう。 俺はまっぴらごめんだが。
/422ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加