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「ざけやがって」おとなしく報告書を読んでいると、
あの傘は瘴気汚染とはまた違った異常が判明したために、
送り先への郵送を取りやめにしたという。
言いようの無い、
不気味なモヤが男の胸にかかる。
先日にあの傘を男に渡した、
男性の正体がわかっていない。
何者だったのか。
常人は一日とて居られない、
あの深度あの瘴気が漂う森からやって来て、
そしてまた森へと帰った男性。
そんなモヤを抱え、
報告書を読み進める。
最後まで読み終えると、
男の気配が曇った。
「おい。
どういう事だ!? なんでそういう事になってんだ」
「まぁ、
そうですよね。
それでですね______」副官は他人事のように淡々と説明する「その報告書とは別にですね。
霞ヶ浦清浄所の所長から渡航果に宛てて、
栖経由での渡航要請書が届いていまして。
なんでも、
あの傘の経路を辿りたいそうで」
「観光じゃねぇんだぞ・・・・誰が来るんだ?」
「例の人と・・・・それと」
______こっちに来んのか。
あの御方は喜ぶだろう。
俺はまっぴらごめんだが。
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