三章

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#  「栗原さんはこちらの病室です」  白兎の運営する白亜の病院の真っ白な個室の扉の前で、 ちえみの担当医がちえみを両親と対面させようとしている。  母は入室する前にためらうように、 主治医に尋ねた。  「娘の容態は、 原因はなんなのでしょうか?」  「ちえみさんは中央清浄所での危険物清浄観測部の主任だということを踏まえ、 まず瘴気の汚染の有無を検査しましたところ、 忘却消却ともに汚染されている、 または過去に汚染された形跡も認められませんでした」  父が重重と口を開いた「原因は別にあると」  「今は何が原因とは申し上げることはできません。 ただ、 瘴気が原因という可能性は低い、 ということだけです」  担当医が入室して、 両親も後に続いた。
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