エピローグ 

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 石畳の広間の中心では、 鼻をつく臭いとともに、 ブスブスと煙に覆われた黒い物体が小山を形成している。 その黒い小山を、 服装も年齢も統一されていない男達の一団が囲っていた。 一団に共通しているのは、 誰しもが肩にAKを掛けているのと白人であることである。  小山から漂う臭いは吐き気を催す腐臭だ。 腐臭に鼻をしかめながら、 ツナギ姿の白人が苦々しく毒ずく「誰だよ。 広場でこれを燃やせと言ったのは」  そばにいたもう一人の白人が答えた。 ボロボロのジーンズに季節外れの寒そうなカットソーという出で立ちだが、 やはり肩にはAKが掛けられている「動画に収めて、 世界に流すんだとよ。 これが俺たちの流儀だとな」  「それは構わねぇけど、 今度からは街の外れでやってほしいもんだ」  「衣服とか、 何より髪の毛が焦げると、 臭いがキツイ。 だから、 衣類をきちんと剥いで髪もそれば、 美味そうな肉の滴る臭いになるんじゃないか」  _____ゴーゥン……  低い鐘の音色が数度、 街を轟いた。 広場そばの教会の尖塔に据え付けられた大鐘が鳴らされたのだ。 常世に侵食されるまでは、 その鐘の音色は市民に対する時報と、 神への賛辞に用いられていたが、
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