0人が本棚に入れています
本棚に追加
石畳の広間の中心では、
鼻をつく臭いとともに、
ブスブスと煙に覆われた黒い物体が小山を形成している。
その黒い小山を、
服装も年齢も統一されていない男達の一団が囲っていた。
一団に共通しているのは、
誰しもが肩にAKを掛けているのと白人であることである。
小山から漂う臭いは吐き気を催す腐臭だ。
腐臭に鼻をしかめながら、
ツナギ姿の白人が苦々しく毒ずく「誰だよ。
広場でこれを燃やせと言ったのは」
そばにいたもう一人の白人が答えた。
ボロボロのジーンズに季節外れの寒そうなカットソーという出で立ちだが、
やはり肩にはAKが掛けられている「動画に収めて、
世界に流すんだとよ。
これが俺たちの流儀だとな」
「それは構わねぇけど、
今度からは街の外れでやってほしいもんだ」
「衣服とか、
何より髪の毛が焦げると、
臭いがキツイ。
だから、
衣類をきちんと剥いで髪もそれば、
美味そうな肉の滴る臭いになるんじゃないか」
_____ゴーゥン……
低い鐘の音色が数度、
街を轟いた。
広場そばの教会の尖塔に据え付けられた大鐘が鳴らされたのだ。
常世に侵食されるまでは、
その鐘の音色は市民に対する時報と、
神への賛辞に用いられていたが、
最初のコメントを投稿しよう!