騒がしい指輪

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「君の幸せは、随分と小さいね」 私の盛り上がりように、アルフォンスさんが苦笑しながら、そんな事を言った。 小さくて、結構! ………まぁ、私の幸せが、アルフォンスで左右されるっていうのは微妙だけれども。 「ほら、早く帰るよ」 「あっ、私、屋敷の皆さんに、挨拶して来ますね」 言い置いて走り出した私の後ろから、アルフォンスさんの声が飛んだ。 「さっさと済ませて来なよ。師匠を待たせる弟子なんて、ロクなもんじゃないからね」 嫌味は言っても、一応、待ってはくれるらしい。 「はい!!」 青空の下、大きな声で返事をした。 後日。 書斎で、椅子に座り、机で調べ物をしていると、突然、目の前で、小さな空間がぽっからと空いた。 え? 何? 何、これ。 驚き固まっていると、その空間から、見覚えのある、毛が一本だけ生えたテカテカ頭が出現した。 ま………まさか…。 ポンッという音を立てて、オイちゃんが顔だけ現す。 「ザ…ザグラぢゃん~~!わい、今な?移動範囲を広げてるんやーー!待っててなーー?」 必死な形相で、それだけ告げると、オイちゃんは吸い込まれるようにして、空間の中へと消えていった。 END
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