夢見る人形

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*夢見る人形・1* 「こんにちは、サクラちゃん」 ギルバートさんの休憩時間。 午後一時。 ギルバートさんが休憩している間は、私が代わりに店番に入る。 「こんにちは、レオンさん」 狙っているのか、レオンさんは、決まってこの時間帯に顔を出す。 「今日は、どのような品を?」 曰く付きのアンティークを、依頼主から預かって持って来る、いわば、仲介人のような商売をされている人だ。 「ん?まあね?」 女性が好みそうな甘いマスクに、柔らかい物腰、そんなレオンさんは……。 「それより、サクラちゃん。今日も一段と可愛いね?どう?俺と買い物でも行かない?」 「………」 中身が、残念なくらい軽い人だ。 私の頬に片手を添え、人好きのする微笑みで、瞳を覗き込んでくる。 そんなレオンさんに、無言で、『仕事しろよ』と念を送りながら白い目で見返した。 「それとも、お茶にする?この前、珈琲が美味しい店を見つけてさ」 別に、私だけに、こんな事を言う訳ではなく、女性を見たら、こうして口説き文句を言わないと気が済まない性質のようだ。 以前、耳の遠い高齢のご婦人にも、今のような台詞を吐いているのを見掛けた時は、『あ、そうか。この人、もう病気なんだ』と、変に納得してしまった。
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