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「君にだけは、言われたくない」
……ていうか、私の休日くらい、私に決めさせて欲しい。
「あ、それとも?もしかして嫉妬だったり?」
ニヤニヤ笑いながら、とんでもない事を言い出したレオンさんに、アルフォンスさんは満面の笑みを浮かべる。
「それ以上、下らない事を言うなら」
アルフォンスさんの冷たい殺気で、ヒヤリと気温が下がっていく…。
「殺すよ?」
爽やかな笑顔で物騒な事を言ったアルフォンスさんは、きっと本気に違いない…。
それなのに、レオンさんときたら…。
「はいはい。照れないよ、恥ずかしがり屋だなぁ、アルは」
最強だ……。
ある意味、この人が最強かもしれない。
「あ、あの、ところで、依頼の品は?」
これ以上、放置していると、確実に死人が出そうな気配を察知し、話題転換を試みる。
すると、レオンさんは、「あ、忘れてた」なんて軽い調子で言いながら、受付の台に、布に覆われた大きめの箱を置いた。
「これは?」
「開けてごらん」
促され、包みを解くと、ガラス張りの箱に入った、綺麗なアンティークドールが姿を現した。
細かい所まで、丁寧に細工してあり、一目で高価な品だと分かる。
「綺麗な人形ですね」
感心しながら呟く私に、レオンさんが、「そうでしょ?」と、にこやかに返した。
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