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*夢見る人形・2*
書斎に来て調べ物をしていた私は、落胆の溜息をついた。
人形について、何も分からなかったからだ。
昔から伝承されているような品物であれば、書物に記載されている事もあるけど、今回のアンティークドールはそうじゃない。
持ち主に話を聞いてみようかな…。
持ち主の連絡先などは、レオンさんから貰っている。
でも、持ち主を転々としているらしいし、現持ち主が何か知っている可能性は、極めて低い。
そう……。
つまりは、行き詰まりだ。
どうしよう……何も分かりません、なんて、口が裂けてもアルフォンスさんに言える筈がない。
どんな毒を浴びせられるのか……。
想像するのも恐ろしい…。
人形の細工から、何か分からないかな。
そう思い立ち、よく見てみようと、ガラスケースを開けようと椅子から立ち上がったと同時に、書斎のドアがノックされる。
その時点で、テオさん以外の誰かだと悟った。
テオさんには、扉をノックするという概念がないからだ。
そのままドアが開き、アルフォンスさんが姿を見せた。
………………あぁ……いま一番会いたくなかった人が…。
「どう?何か分かった?」
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