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分からない事が、分かりました。
言えたら、どんなにいいだろう……。
「あー……それが、その…」
「まぁ、いくら本で探したところで、この手のアンティークは分からないだろうね」
まさか、そんな風に言ってもらえるとは思っていなくて、驚きに目が丸くなる。
気合いでどうにかしろ、そんなの自分で考えろ、なんて言葉が返ってくるものとばかり思っていた。
「何?その顔」
そんな私の反応が面白くないのか、不機嫌そうに睨まれる。
………ていうか、今日は、ずっと機嫌が悪い。
「あ、いえ……持ち主の方に事情を聞いてみようかと思ったんですけど、レオンさんの話だと、それも当てにはならなさそうでしたので」
「………レオン…ね」
真面目に答えたのに、不機嫌オーラを発した無表情のまま、ジロリと睨まれた。
えー……何で睨まれてるのー?
分からないのは、私の所為じゃないのに。
それでも、口には出せません。
怖すぎて、取り敢えず黙ってみる。
変に言葉を発したら、完膚なきまで叩き潰されそうな予感がする……。
黙ったまま、アルフォンスさんの出方を待っていると、不意に、ゆっくりした足取りで歩き始める。
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