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*夢見る人形・3*
色々と調べたものの、何も掴めないまま三日が過ぎた。
こうなったら、憑魔に出て来てもらうのが一番手っ取り早いかもしれない。
それでも、相手がどんな憑魔か分からないまま、迂闊に手を出すのは危険だ。
かといって、このまま手をこまねいている訳にもいかない。
書斎にある、ありとあらゆる本を調べても、何も分からないし、人形の素性を知る人間もいない以上、このまま何もしないのは、無駄に時間が過ぎていくだけだ。
せめて、憑魔の目的が分かれば……。
うーん、と考え込みながら書斎のドアを開けると、机の上に置いてある、アンティークドールのガラスケースを、ノワールが前足で猫パンチを食らわせているのが目に入ってきた。
なっ!!!?
グラリと傾くガラスケース……。
慌てて、飛び込むようにして両手を伸ばした私……。
ガラスケースが机の上に倒れ、中に入っていたアンティークドールが、ゴロンと転がって、机を落ちていく……。
それを、間一髪で、伸ばした両手でジャンピングキャッチした瞬間……。
『憑魔の憑いたアンティークを、無防備に触らない事。何が起こるか、分からないからね』
なんていう、前にアルフォンスさんに言われた言葉が、頭の中を過った……。
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