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「それで?君が、誰で、どんな悩みを抱えているのか、教えてもらえないかな?アンティークドールさん?」
そう言って、アルフォンスさんは、真っ直ぐに私を見た。
取り憑いた私を使って、アンティークドールは昔の事を語った。
始めの持ち主は、人形師の青年だった。
彼は、自分の作り出した人形を、心から愛し、大切にする人で、今回の依頼のアンティークドール…彼女が一番のお気に入りだったそうだ。
そんな愛情が、いつしかアンティークドールに魂を与え、彼女もまた、彼を心から愛した。
ところが、そんな二人を引き裂くかよのうに、国が隣国との間で戦争を始める。
徴兵された人形師の青年は、二度と戻ってくる事はなかった……。
「話は分かったけど……それで、君の願いは何?何かあるから、色々と悪さをするんだろう?」
話を聞き終えたアルフォンスさんが、早速、本題に入る。
「………デートがしてみたい」
…………は?
自分の口と声が、自分の思いとは全然違う事を口走る。
意識はちゃんとあるのに、自分の身体が思うように動かせない。
「デート?何で、また、そんな事を?」
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