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*夢見る人形・5*
青空の広がる、穏やかな日差しの下……。
何が悲しくて、腹黒エセ紳士なんかと並んで歩いてるんだろう…。
いや、私の意思じゃない。
私の意思じゃないだけに、何だか凄く悲しくなる……。
はぁっと溜息をつきたい心境だ。
………乗っ取られているから、何も出来ないけど……。
「………」
ふと、ある事に気が付いた。
私の視線……つまり、彼女が、ずっとアルフォンスさんの肘を見つめている。
肘なんて見て、何が楽しいんだろう。
いや、それを言ったら、この毒製造機と並んで歩くなんて真似、どこが楽しいの?
「何?何か気になる事でも?」
彼女の視線に気付いたアルフォンスさんが、歩みを止めて、彼女に向き直る。
これが私なら、同じ台詞でも、きっと睨まれながら、忌々しそうに言われているに違いない。
「……腕…組んでもいい?」
なっ!!!!!!
何ですと!!!!!?
腕を組む!!!?
私と、腹黒師匠が!!!?
街中で!!!?
待って?ちょっと待って?
そんな悪夢としか言いようのない事態、何が何でも受け入れられませんよ!!!?
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