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違うから!
それ、私じゃありませんから!!
いくら喚き叫ぼうが、私の声なんて聞こえる筈もなく……。
暫くして、花束を作りに奥へ行っていたおばさんが、可愛らしくラッピングされた、お手頃サイズの花束を手にして戻って来た。
「はい。こんな感じにしておいたけど」
「ありがとうございます」
お金を支払い、花束を受け取ったアルフォンスさんは……。
「はい。君に似て、とても可愛らしいね」
なんて、吐きそうになりそうな甘っ甘な台詞を、これまた砂を吐きそうになるくらいの甘ったるい微笑み付きで吐き、彼女……つまり、私に花束を渡した…。
おばさんの、目の前で……。
「ありがとう」
それを受け取った彼女は、嬉しそうにはにかみながら、花の香りを楽しむように、花束に鼻を近付けた。
何て事だ……。
何、この公開処刑。
何、この恥ずかしいバカップル。
私の人生、終わったも同然だ。
やめて。
もう、これ以上は、止めて下さい。
私の生命力が、尽きる寸前です……。
その後も、二人のデートは弾むようなウキウキ状態で進行していった。
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