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そりゃ、私は弟子だし、こんな『お姫様扱い』を望んでいる訳でもない。
それでも……。
こんな風に、扱いの差を見せつけられたら、面白くないと思ってしまっても、仕方がないと思う。
優しい微笑み。
優しい言葉。
全部、私には向けられないモノを、中身が違うだけで向けられているのを見るのは……正直、面白くない。
こんな思いをするくらいなら、意識なんて残ってなくても良かったのに……。
……………。
………………嫌だな。
私、嫌な奴になってる。
これは、アンティークドールの願いを叶える為のデート。
長年、ずっとひたむきに思い続けてきた、たった一つの願いを叶えているところなのに。
こんな黒い感情を持つなんて……。
本当に、やな奴だ。
やめ!
やめよう、こんなの!
全然、私らしくない!!
ちゃんと、二人の事を見守ろう!
集中!集中!!
気持ちを切り替えるように、自分の中の黒いモヤモヤを追い払った。
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