episode157 チェシャ猫と白猫

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振り向くと 「ああ、やっぱりあなたが――」 仕立ての良いスーツを着た いかにも仕事の出来そうな男が僕を見て微笑んでいた。 「あなたは……?」 「イ・ソンジュ氏の使いで参りました。秘書のジヌです」 敏腕秘書ってところか。 「日本語がお上手ですね。九条敬です」 「どうも」 ビジネスライクな笑顔を浮かべ 握手を交わす。 「ではこちらが――」 やはり分別のある人だ。 ジヌは遠慮がちにほんの一時だけ 和樹に視線を向けた。
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