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シャラッとレールを擦る金具の音が聞こえた。
今は朝だろうか、夜だろうか。
眠る前の記憶は、確か夜ご飯のシチューを食べたのが最後だ。
夜ご飯は毎日決まって6時だから、そこから数時間しか経っていなければ夜。
12時間以上寝ていたのなら次の日の朝だ。
「おはよう、サキちゃん。よく眠れたかな?」
どうやら12時間以上眠っていたらしい。
聞きなれた安田さんの声に、「おはようございます。ぐっすり眠れたみたいです」と明るく返した。
「敬語はいい加減やめてほしいなぁ」
そんな声が顔のすぐそばで聞こえたかと思うと、唇にチュッとだけ何かが触れた。
きっと彼は私に笑顔を向けてくれている。
その顔をじっくりと見つめ返すことができたらいいのに…。
私は口元に笑みを浮かべながら、頭部に何重にも巻きつけられた包帯をそっと手で撫でた。
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