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何か悪いことが起こる時は、大体昼間だ。
夜は寝ている。だから昼。
でも、夜に何も起こらないわけじゃない。
大人の世界では、夜こそ変なことが起こる。
地球の影の中では不思議なことが起こる。
兄が姉になったりするし、
お世辞にもイケてると言えない部長が、
ヴィジュアル系のリーダーになったりする。
夜は不思議な時間だ。
そんな不思議な時間が、私にくれた教訓。
それは、私の彼がまだ、彼だった時の話だ。
私は彼と付き合っていた。
彼は長身痩躯で帽子が似合う人だった。
決して映えるわけではなかったが、
垢抜けていない性格と相まって、へんに尖っていなくて、
人あたりの良い優しい人だった。
どんなに遅い時間でも、飲みに誘えば来てくれた。
決して甘えるのが上手ではなかった私に、
気持ちよく甘えさせてくれた。
駄々にもおねだりにも答えてくれた。
でも、どうしても駄目なことには、爪を立てて見せ、
注意を促してくれた。
99%の優しさに、1%の緊張というスパイス。
そのスパイスを絶妙に織り交ぜ提供する。
気持ちの良い相手でちょっとハマりそうだった。
でも、彼は一切手を出してこなかった。
こちらがハグをして欲しくて、両手を広げているのに、
頭を撫でただけで終わってしまう。
物足りなさが、思いを募らせた。
ほかの女の影はなかった。
「携帯を見せて」という要求にも、笑顔で見せてくれた。
障害らしい障害もない、なのに彼の前には線があって、
その線から先には入れてくれない、そんな感覚があった。
ダメと言われれば、余計したくなる。
障害があれば、無性に超えたくなる。
プチアクティブな私は、友人の力を借りて、実力行使にでた。
難しいことがあまり得意でないので、正面突破だ。
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