第1章

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私の名前はE。 地獄にいる陪審員の一人だ。 私は疲れている。 本当なのだ。 よく言われる閻魔様が酌を持って全ての魂をば裁いてくれる訳もなく、この仕事は非常に大変なのだ。 1日に処理する人数は一人当たり数千人。 地獄でも効率的な分業体制が確立されているとはいえ、社員がそれで楽になるかと言われれば微妙なところだ。 そういえばこの間も、面倒な仕事があったのである。 一つ聞いてはくれないだろうか。 その仕事はAという同姓同名、容姿も著しく似通った二人の男を裁けと言うのだ。 仮に一方をA1、他方をA2としよう。 A1は内向的で何かブツブツ言っている。 根暗といった感じだ。 反対にA2は社交的でハキハキと喚問に答えてくれるので、正直私は彼に好感を持った。 問題は二人のガワがそっくりそのままな事と、彼らの生前の行いにあった。
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