3151人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
「なんだよ、お前まだ落ち込んでるのか~?」
私の頭を日誌でボスボス叩きながら、梁取先生は笑っていた。
痛いからやめてください!と言う元気すらない。
「落ち込みますよ、そりゃ……」
「だよなぁ、まさかステージの上でずっこけるとはなぁ」
梁取先生はくくくっと咽を震わせて笑った。
……そう。
私は新任の挨拶で壇上に上がった。
緊張はしたけれど、上手く喋ることはできたと思う。
でも、ほっと安堵して壇上を降りる階段で、豪快に転んでしまったのだ。
「いやぁ見事なこけ方だった! 期待を裏切らないっ!
さすが藍沢さくら!」
よっ日本一! と拍手付きでからかわれた。
「もうっ! 人が落ち込んでるのにっ! そんなに笑わないでくださいよ!!」
梁取先生から日誌を奪い取り、ボカボカ思いっきり叩いた。
最初のコメントを投稿しよう!