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……ああ、この場面知っている。
何度も夢に出てきた。
中学の卒業式。
桜の花びらが風に揺られて舞っていた。
新たな旅立ちを祝福するように。
涙の別れを慰めるように。
大きな桜の木の下で、何度追いかけたか分からない背中を見つけた。
誰もいなくなった中庭で、卒業証書を片手に先生に告白をした。
何度したか分からない告白。
振られても振られても、諦められなかったんだ。
でも今回の告白は違う。
私たちはもう、生徒と先生の間柄じゃない。
だからもしかしたらって……思ったんだ。
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