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契約社員だと腐っていた時期がある私からしてみれば、そんな次いでのように言われることではなくとても嬉しいことだったりする。
「ありがとうございます」
嬉しくて、指輪をなぞりながら微笑むと、紡さんは小さく淡く嘆息した。
「そんな顔するなんて、反則ですよ」
そんな思わせぶりなことを言うと、お祝いムードの中、紡さんは噴水の前まで私を呼びだした。
ジャズの音色をバックミュージックに噴水で皆から隠れるように私だけを見る。
指輪がはめられた指先を甘く唇で這わせ、肩から腰までのラインを優しくなぞると私を引き寄せた。
「だ、誰かに見られます」
「今日ぐらい、見られても大丈夫ですよ」
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