第1章 プロローグ

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第1章 プロローグ

<プロローグ> 海外赴任して5年。 今日も私は朝からあの曲を聴く。 思い出すのは あの輝きと熱気。 ...そしてあのイタズラな笑顔。 いつもストイックに自分の殻に閉じこもって。 無意識に周りに気を遣わせる。 あのピリピリした空気、こわいのに。 目が離せないの。 気付いたらいつも彼を追ってた。 本当は甘えたがりなのに…素直じゃない。 ただマジメで 何より、歌と仲間を愛するあの人が。 好きで 好きで… 大好きで … 愛しすぎて… 私は 逃げてしまったんだ。 今でもあの温もりを こんなにもハッキリと思い出せるのに… 大好きだった、あの イタズラな笑顔は。 今は もう、 まるで逆光のように まっくらな影となり。 波打ち際にかいた文字のように さらさらと 消えていってしまう。 いつも いつも さらさらと 消えていってしまうの… さらさらと。 そう。 どうしても つかめなかった あの日々のように…
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