第7章 止まった時間

1/2
前へ
/43ページ
次へ

第7章 止まった時間

少しづつ状況が理解出来た。 俺が目を覚まし、今いるこの場所は、 急患患者が収容される集中治療室だった。 「もう大変だったのよー。」 俺の量腕には沢山のアザ。 よく見ると足にもアザがある。 俺の手足はベットに完全に 固定されていた。 どうやら痛みで相当暴れたみたいだ。 そして俺の前に、先生が現れる。 「せいや君、初めましてだね。」 そして色々説明を受けた。 自分が倒れ、その日に頭の緊急手術をし、 今日まで危篤状態だった事、 痛みに耐えられるか、生死の境目だった事。 しかし目を覚ましたばかりの俺は、 イマイチ理解ができずに その出来事を他人事の様に 聞いてしまっていた。 確かに嵐の様だった事は実感してるものの、倒れた事と大手術をした記憶が ポッカリ空いていた。 暗闇にいた期間、 それは意識を失っていた時の 記憶なのかもしれない。 もう今は頭の痛みが完全に止まっており、 すっきりした状態だった。 先生や看護師さんが 色々説明してくれるのをよそに、 その時、俺が放った第一声が 「先生、お腹が空いた。」だった。 この時、違和感に気づいた。 この言葉だけを言うのに かなり苦戦した。 つまりちゃんと言語を話す事が 出来なくなってしまっていたのだ。 でもそれに気付いた事よりも、 空腹と言う、欲求が先立った。
/43ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加