第8章 闘病の日々

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あくる日も、そのあくる日の夜も、 数分置きに眼球をライトで照らされていた俺は、物理的に眠る事が出来ない毎日を過ごした。 日中眠れば良い話なのだが、 俺にとってこの生活は想像以上に苦痛で 完全に不眠症になってしまった。 一日、何も出来る事がない、 時計もないし、体も固定されている、 誰と話す事もなく ずっと天井を眺めているだけ 更には眠る事も出来ないとなると これがいつまで続くのかと 途方に暮れる毎日だった。 それは時間という概念(がいねん)のない、 永久に続くだけの世界でしか無かった。 そしてその中で唯一貴重だった 食事の時間は、米を一粒づつ口に入れ、 少なくとも食事に 2時間位かけたかった。 でも結局、食欲に負けて、 やってらんなくなり 1時間かけるのが精一杯だった。 自分的には食事に かなり時間を費やせてるなと 思った日があり、看護師さんに 食事来てから今までどの位時間経ちました?と聞いた。 45分位だよと言われた。 ショック。 大袈裟って思うかもしれないが どんなに頑張っても 永遠にループする24時間と言うものは まるで自分自身との戦場だった。 その生活が約一週間経つ頃には、 ついに看護師さんに、 シール貼りでも何でも良いです。 何かさせて下さい。 時間が少しでも過ぎてくれる事を。 と縋り付いてた位だ。 返答は「そんなのある訳ないじゃない」 だった。(ですよねー、、苦笑) 今となれば笑い話になるかな。 でもあれもかなりの苦痛だったなー。 でもやっとそんな日々に転機が訪れた。 それは、これ以上はやめて欲しいと 思うような。壮絶な治療、現実だった。 だけどそれと引き換えに これから訪れる、どんな現実においても 前向きに向き合わせてくれた そんな支えの力だった。
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