第8章 闘病の日々

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ずっと聴こえてた機械音はこれだったのか。こんな医療器具に囲まれて、頭にくだが通って、その頭はガチガチに包帯が巻かれてたら、そりゃぁ泣くよな。と理解した。 包帯が外された頭の傷口は更に、ガムテープの様なテープで保護されていた為、それをばっと剥がされる時が痛かった。剥がされたテープにはその時の衝撃で抜けた髪の毛が付いていた。このテープが何重にも保護されていた為、一枚一枚剥がす瞬間が一番勇気がいた(苦笑) 度胸試しをしてるみたいだった。 そして抜糸が始まる。糸ではなく金属で縫われていた(金属が刺さってる)為、少し痛いかもしれないと言われた。 縫合した範囲が広かった為に、 一つ一つ抜くのに刺激が走った。 確かに痛かったが、 テープを剥がす衝撃が凄かったので 痛みに免疫が付いて 逆に良かったと思う。 そして無事に抜糸は終わった。 ここに来て一回目の大仕事が終わった。 一安心したのもつかの間、 抜糸をしてすぐに、MRI(造影剤を使い脳を詳しく見る検査)が入っていた。 俺はまだ車椅子に乗れなかった為、 移動様のベッドに移されるのだが 看護師さんと先生がよいしょと 俺を持ち上げた瞬間、脳の激痛が走る。 傷口の痛みだった。これも何とも言えない痛みで、一瞬頭が真っ白になる。 そのまま移動用のベッドで病院の廊下に移動する。ずっと集中治療室だったので、廊下の天井が新鮮だった。 そして二回目の衝撃。 MRI室に到着。移動用ベッドから、検査様のベッドにMRIの先生と看護師の力で移される。 その時はさっき以上の衝撃が走り、 涙目になる俺が、見てられなかったのか、看護師さんも涙混じりに、今だけの辛抱だからね。と背中を押してくれた。 看護師さんの支えを感じた瞬間だった。 そして無事に検査を終え、看護師さんに支えられ、3度目の移動にも耐える事が出来た。 集中治療室に戻り、 ここに来て以来の大仕事が終わった。 そしてその看護師さんとも仲良くなった。集中治療室の現場は本当に忙しかったが、一瞬声を掛けてくれる様になった。 時間の流れが無かった世界が 少しずつ代わり始めていた。
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