第8章 闘病の日々

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一般病棟に移って4日目くらいかな? 俺は、個室部屋から一般部屋に移る事になる。 先生が初めて一般部屋での診察に来た。 俺は良い方に考えいた。 それは予期せぬ宣告だった。 「せいやくん、今日は少し 残念な話があるんだ。」 せいやくんの手術した部位が、 バランスをつかさどる小脳と言う場所を 全摘出した為に、 リハビリに少なくとも 2年~5年はかかるという話だった。 入院生活が長くなってしまう事、 リハビリは少し辛くなるかもしれない事。 「そうですか。。」 その時先生には気丈に答えたと思う。 その時たまたま部屋に 弟と祖父が鉢合わせていた。 ハタチになったばかりの俺には夢があったから、その時は、今が一番大事な時だと思っていたし、 今後の事が真っ白になって、その現実を冷静に考える事が出来なかった俺は思わず泣いた。 昔から、長男だった事もあって、どんな事があっても泣く事はなかったが、この時だけは弟の前とか祖父の前とか関係無く泣いてしまった。 その日は精神的にドカンと来たが、 その日の夜は色んな事を考えて、 眠れなかったので、最終的には ポジティブに考えるようにした。 落ちるだけ落ちたら後は上がるしかないんだしね。こんなの全然たいした事じゃないしと半ば強引に説得した。 これを次の日から1日100回は唱えるようにした。そしたら少しは気が楽になった。 そしてリハビリが始まった。 先ずは右手のリハビリ。 リハビリの先生が色々ブロックを持ってきた。 でもその時の俺は、考えた。 ここで全然問題無いように装おうと。 だから俺には一回一回が勝負だった。 病院や先生からしてみれば、あまりよろしい事では無い気がするが、いかに正常であるように見せる事に必死だった。 普通ならまだできない筈の事をやれれば、リハビリが最短になるかもという思惑だった。 でもそのかいがあって最初のリハビリはスムーズに進んだ。なんだか大丈夫そうねと言われたのが俺にとっての勝算だった。 状況を打破したいと言う気持ちがリハビリを順調に向かわせた気がする。 少なくとも2年とは言わず、 1日でも早くリハビリが終わるように 執念深いと言うか あの時の自分には勝て無いくらいの エネルギーだった気がする。 でもそのすぐ後、もう一つ最大な決心を しなければならなくなるのだ。
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