第4章 襲いかかる

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第4章 襲いかかる

シグナルを見逃したばかりに、 病院で異常が見られないと 診断されてしまった俺は その後、40度近くの高熱、強烈な頭痛と 数日間闘った。 強い痛み、吐き気を催す頭痛により、 物を口に入れる事はおろか 経験した事のない程の痛みに、 少しの身動きすら取れなくなった。 例えば、 洗面所やトイレにすら 誰かの支え無しでは行けなくなり 少しでも動こう物なら、 意識が無くなる程の痛みが襲う。 それと同時に襲いかかる強い吐き気が 止まる事もない。むしろ強まっていく。 寝ている事も出来なくなった。 吐き気は秒単位で訪れる為 毎回の移動が困難になり 最終的には、丸一日トイレの床に 座り込んでいるようになっていた。 数日間何も食べていない俺が 吐こうとしても、吐けない。 しかし収まる事のない そんな嘔吐を繰り返した結果 遂に吐血に変わってしまった俺は、 衰弱しきっており、 意識も遠のくような感じだった。 それに見切りをつけた家族は 救急車を呼んだのだった。 救急車に初めて乗った。 なんにも記憶がなくて 多分気を失ってしまっていた。 目が覚めると 病院の救急治療室にいた俺は もうろうとする意識の中 先生に、熱が辛いんだろう 入院するか?と聞かれる。 俺はすがる思いで、 助けて下さいとお願いした。 そして点滴を繋がれた俺は 病室のベッドに運ばれた。 もうこれで解放される。。 そんな気持ちとは裏腹。 地獄のような日々は終わらなかった。 点滴は繋がっていても 病院食には手をつけられない。 まるで毎回金属バットやハンマーで殴られているかのような頭痛と、絶え間ない吐き気にトイレでうずくまる毎日だった。 それから数日が経過し 薄れたままの意識の中、 次の異変が起こる。 右手が動かないのだ。 試しに病院食のお箸を掴んでみても ペンを掴もうとしても 上手く動かせず掴めないのだ。 スルッとすり落ちる。 なんだか言語(口元)も半分動かない 半身が麻痺している感じ。 異変に気付いた家族が 先生に、対応ができる 別の病院へ移動出来ないのか、 必死に対応してくれた。 そのお陰で、俺は別の病院へ 救急搬送される事になる。 その救急車の中で、 俺は完全に意識を失った。 それ以降の事は何も分からない。 そして目覚めた時は、 全ての事が変わってしまっていた。
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