第5章 目覚め

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第5章 目覚め

「何が起こっているのか。。 断片的に、分かるような なんだかわかる 取り返しのつかない事になっているような、、」 その時、俺は真っ暗な闇の中にいた。 暗闇と言う深海に沈んでいる様だった。 遥か上の方に、微かな映像だけが見える それはまるで、深海から眺める 水面の上の世界に見えた。 そこから微かに聞こえて来る。 機械の音のような、 知っている声のような音が 微かにだが、聞こえる。 ただ、金属バットが 鋼鉄なハンマーに変わったかの様に 俺の頭を殴り続ける。 それが永遠に続くから もうそんな事はどうでもよかった。 その映像のすぐ下には 一本の糸があった。 痛い、痛い、痛い 痛い、痛い、痛い、痛い、、 何にもいらないから このハンマーを止めて欲しかった。 もう解放して欲しかった。 その糸を切って欲しかった。 今すぐにでも。 そう思い始めている自分は この暗闇の中で、本当に長い時間を 過ごしているようだった。 もうとっくに限界を遥かに超えていていて 楽にして欲しかった。 「その糸を早く切ってくれ」と その時だった。 暗闇だったはずの世界が 夕日の景色に変わった。 そこにいたのは 珍しく髪を一つに束ねた母親、兄弟、 身内達だった。 よく見ると皆、喪服姿で なんとも言えない表情をし 佇んでいる姿だった。 俺、死んだのか。 この状況を、一瞬にして理解出来た。 しかしなんとも言えない表情で、 それは俺ではなく、 そこに映る親族達が、 完全に正気を失ってしまっている そんな哀しい顔をしていた。 生ぬるくて、柔らかい風を感じた。 それがまた鮮明に。 俺は痛みから完全に解放されていた。 まさにその瞬間だった。
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