魔女の月見

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ゴシック調の部屋に射し込む月明かり。 そんな月明かりの下で侑子は優雅に紅茶をたしなんでいた。 しかし、普段と違うのは彼女が纏うもの全てだった。 レースの下着姿から覗く肌には数多の傷があり、侑子が纏う雰囲気もどこか幼い。 「愛されたかったの… 誰でも…いいの…」 呟きは、憂いを帯びて 「ねぇ…誰か…私に頭を高くと… 目を前にと…」 ただ愛されたかった。 誰に…?家族に身内に周りに。 だから全てを尽くしたのと…侑子は誰に言うでもなく呟く。 「孤独を貫けば…誰かが何時かは…」 ねぇ…誰か… 私に無いものを…見せて? 紅茶を掴む手をおろし、魔法でしまう。 誰かにいつか…愛されたいから繰り返す転生。 気づいたのは…愛されないという体質。 だから、身内に殺されかけ、幼いながら毎回逃げ回り…生きている。 いい加減諦めたらいいのに。
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