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「それで、何万人かに一人にあらかじめ死期を告げることを決めました。そこで私たち天使が全世界に散りばめられたわけです」
あ、やっぱり天使だったんだ。
「だからあなたは幸運なんですよ。いつ死ぬかが分かるんですから。こんな若い時に、いきなり死んでしまうよりマシでしょ」
あっけらかんと言う天使。
でも僕は納得いかない。
「そう言うなら、僕を選ばないでよ。いつ死ぬかが分かるより、長生きする方が幸せなんだけど」
「それは無理です。神さまは、人がいつ死ぬかを知ることはできても決めることはできません」
ならもうこの状況を幸運としか思えないじゃないか。
「なんで僕は死ぬの?」
「知りません」
「速やかにお引き取りください」
少し前の納得しそうになった自分を悔いた。
やっぱりこんなやつの言うことなんて信じられない。
「なんで死ぬかなんてこの際どうでもいいでしょう。そんなことより、大切な人に別れを告げなくていいんですか」
「自分すら自分の死を受け入れられないのにどうやって人を説得させろと」
「あなたは一週間後に死にます」
いきなり核心を突かれた。
僕の目の前は再び真っ白になって、今度は真っ黒になった。
頭がくらくらした。
「それほんと?」
「はい。だから信じてほしいんです」
「なんでもっと早く来ないの?」
「そこまで普通の人と差つけるわけにはいかないでしょ」
「そういう変なとこで律儀なのやめて」
頭が痛い。
一週間でどうしろというのだ。
なにはともあれ僕は死んでしまうらしい。
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