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もし世界が明日で終わるとしたら何する?
なんて、子供の頃から幾度となく考えてきた。
その頃はそれが虚構であることなんて百も承知で、
世界一周するだの、自家用ジェット機を買うだの美女をはべらすだの……まあなかなか不可能なことを考え、こんなことができるんだったら世界が明日で終わるのもいいかもな、なんて縁起でもないことを思ったりした。
だけど実際似たような状況に置かれてみるとそんな悠長なことを言っていられない。
それはパスポートの申請に時間がかかるからとか、ジェット機の操縦ができないからとか、モテないからとかそういうことじゃない。
体が受け付けず頭がついていかず。
ただ放心していた。
天使はそんな僕をふわふわ浮きながら見つめていた。
結局僕が重い身体を使う気になったのは日が暮れてからで、最後に一目会いたい人がいるからだった。
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