1章 新たな生活と新たな出会い

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はぁ。終わったーー。 なんとか、アドリブで5分以上話してやったわ。あの先輩にちょっときついこと言っちゃったなー。 「おりゃおりゃおりゃー!」 振り返ったと共に荷物が消えた。 ふと、前を向くと私のカバンがバイク男に取られた。 「きゃー!ひったくりー!」 私、入学式でどんなに運ついてないの。 バイクの前に年下の男の子がいた。 流石にあの子には止めることはできないか。でも、一応叫んだ。 「そのバイクひったくりー!誰か止めて!」 少年は少し加速をつけその男を蹴っ飛ばした。バイク前のおばあちゃんにぶつかってしまう心配をしたが、蹴っ飛ばした瞬間にバイクの鍵を抜いたらしい。 やることが漫画みたい。 「ありがとうございます!」 「別に、大したことじゃないんで。」 眼鏡少年。無愛想か。おまえは。ま、今回は感謝でいっぱいだから一緒に帰ってやろう。 「なんでついてくるんですか。」 こいつ。 「…」 ついてくるんじゃなかった… 「あの、気をつけた方がいいですよ。 入学式で舞い上がってる時は。」 「なんで知ってんの!!」 「見てたら。」 少年はクスクス笑っていた。 「笑うな!ちびメガネのガキ。」 「は?言ったな、お前!助けてやったんだぞ!」 「その口の効き方!私歳上だから!」 そんなこんなで、こんな会話が続いた。 「私こっちだから。」 「あの、名前なんて言うんですか?」 「あんたに教える名前なんてないわよ。」 「まだ、言うか。」 ちょっと間があいて私達は笑った。 今日は運はついてないけど、2人のいい人に出会えたいい日になった。 いい人ではなく運命の人になることをまだ私は感じていなかった。
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