私の気持ち

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帰宅途中、原因の缶バッジをコンビニのゴミ箱に捨てた。 それなのに嫌な気持ちは家までついて来た。 何度考えても腹立ちがおさまらなかった。 私の気持ちをまったく考えないで私を傷つけるなんて許せない。 理不尽に傷つけられた事を何度も何度も考えているうちに、恋スタの時間が近づいて来た。 こんな気持ちで恋スタを見る事になるなんて全部加奈のせいだ。 少し懲らしめてやらなくては。 『手首を切ったら痛いのかな。さよなら。最後に加奈にだけは言っておきたかった』 自殺をほのめかすメッセージを送ると、すぐに返事がきた。 『どうしたの?そんな事言わないで。悩んでいるなら相談にのるよ』 ふふ。慌ててる慌ててる。 でも私が自殺するとまで言ってるのにどうして私に謝らないの? 悪いのは全部加奈なのに。 親友の私がこんなに嫌な思いをしてるのに。感じ悪い。 またメッセージが届く。 『大丈夫?何かあったの?』 勝手に心配してろ。私の気持ちも知らないで。 『もしかして私が悪いの?私がヒロを傷つけちゃったの?』 今ごろ気付いたのかよ。もっと早く気付けば私が傷つく事もなかったのに。 私ばっかり嫌な思いをしてるんだから加奈にも少しは私の気持ちを考えて貰わなくちゃ。 「あ、もう恋スタの時間だ。加奈の相手してて忘れる所だった。さいあくー」 楽しくアニメを観ていると、スマホに電話が入る。 嘘でしょ?恋スタの邪魔して。 すぐに電源を切って妨害を防ぐ。 恋スタを観てるのに電話をしてくるなんて非常識だ。 せっかく気持ちよく恋スタを観ていたのに。 こんなんじゃ恋スタを楽しめないよ。 どうしてこんなに酷い事が出来るの? 加奈は何にも考えてない。 私の気持ちを全然考えてくれない。 スマホを放り投げて、恋スタの続きを観る。 そして次回予告まで観終ると 「ああ~今日も面白かった。さあ、明日起きるの大変だからもう寝よーっと」 嬉しそうにベッドに入って眠りについた。 朝起きて、忘れていたスマホの電源を入れると、加奈から何十件もメッセージが届いていた。 それは加奈の反省の数なのだと満足して、朝の支度を整えた。
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