4人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
学校が終わると、加奈とヒロは書店に寄って恋スタをレンタルし、ついでに欲しかった本を買った。
レジでの支払い時、対象の本1冊につきくじを1回引かせて貰えた。
くじの箱を見ると、槍らぶの缶バッジのくじらしい。
これって松田さん達が好きなやつだ。
「さいあくー。恋スタの方が良いのに」
突然の、店員の前でのヒロの言葉に、加奈は驚いて頭を下げて謝罪の意思を示す。
店員は笑顔で(気にする事ないですよ)と伝えてくれ、胸をなでおろす。
店を出た後で注意をするが、本人は何が悪いのかよく分かっていないようだ。
「だって絶対恋スタの方が皆良いと思ってるよ」
そういう問題じゃないんだけど…。
ヒロと別れて、家に着くと同時にメッセージが届く。
『恋スタ観た?』
家まで10分くらいかかるって言ったのに。
まだ観れるわけないでしょ。
『まだだよ。今帰ってきた所』
制服を着替えるとまたメッセージが届く。
『もう観てる?』
もう少し後にしたかったけど、とりあえず観てみよう。
『今から観るよ』
報告のメッセージを送ってすぐ、またヒロからのメッセージが届く。
『面白いでしょ?』『今どこ観てる?』『ヒロ格好良いでしょ?』
とにかく何度も送ってくる。
気持ちを共有したいのは分かるけど、全然アニメに集中出来ないよ。
肝心の内容は、なんの取り柄もない主人公の女の子が様々なタイプのイケメンに言い寄られる、いわゆる逆ハーレムものだった。
集中して観られないせいか普段アニメを観ないせいか、加奈には何が良いのかよく分からない。
何より、誰とでも良い雰囲気になる主人公にあまり共感出来なかった。
でも、こんなに期待しているヒロに変な事は言えないな。
『色んなイケメンに囲まれて羨ましかったよ』
そう感想を送ると、独自の感想を書いた長文が何度も届き、遅くまで眠らせて貰えなかった。
最初のコメントを投稿しよう!