4人が本棚に入れています
本棚に追加
気が付くと、朝を迎えていた。
「ああ、もう朝…」
ずっと心配で悩み続けていた。
いつ寝ていつ起きていたのか分からなかった。
メッセージをチェックするが、返事はなかった。
「ヒロ…。大丈夫なの?学校に来るかな?ああ、学校、行かなくちゃ」
鏡を見ると、目が充血してクマも出来て酷い顔だ。
急いで制服に着替え、朝食も食べずに学校へ走った。
遅刻寸前で教室に入ると、すでにヒロは自分の席に座っていた。
「あ、加奈~。遅かったね」
笑顔で近づいて来る。
「ヒロ…」
「酷い顔~。目の下にクマ出来てるよ。あ、恋スタ観てたんでしょ?」
昨夜の事など無かったかのように話しかけてくる。
「…恋スタ?観てないよ」
「え?夜更かししたのに観てないの?バカだなあ」
「…バカ?」
昨日のアレは、なんだったの?
一晩中心配してたのに、今日はこんなに機嫌が良くて。私の心配はなんだったの?
ううん、違う。ヒロが元気になった事を喜ばなくちゃ。
親友が元気になったのに腹を立ててしまう私って、なんて嫌な人間なの。
私が…ダメだから、嫌な人間だからこんなに…。
加奈が席に座ると、ヒロもついて来て隣の席に座り、横で恋スタの話を始める。
2日もろくに寝てないから、授業が始まるまで寝させて欲しい。
頭が回らず空返事を続けるが、ヒロは構わず話を続ける。
声が響く。頭が痛い。
突然、ピタリと話し声が止んだ。
ヒロを見ると、誰かを見ている。
視線を辿ると、結衣が立っていた。
「いい加減にしろよテメー!またやってんのか!」
結衣が一喝した。
最初のコメントを投稿しよう!