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箱の中が見え、そこから配線が伸び、天板の裏に繋がっていた。
「これじゃ停止しないね」
「その線切ってみたらどうだ?」
その台詞に驚いて、和也は利奈を見た。
「多分切った瞬間、ドカンだよ」
「うっ……」
利奈は口を噤んだ。
天板と箱を繋ぐ配線は意外と長く、天板は箱の横に置けた。
「あれ?」
和也が改めて箱を覗きこむと、様々な配線や基盤の他に、2つに折りたたまれた紙片が1枚入っている。
「なんだろう」
和也は呟きながら、その紙が絶縁体の役目をしていないことを念入りに確認し、それを取り出す。
「なんだそれ?」
「さあ……」
和也は目の前で紙片を開き、そこに書いてある文章を声に出して読む。
「『イカロスよ、太陽に向かって飛べ』?」
「イカロス?
どっかで聞いたことあるな」
利奈は顎に手を当て、虚空を見つめた。
和也が言う。
「多分、小学校の時、音楽の時間で聞いたことがあるんだと思うよ。
【勇気一つを友にして】ってタイトルの歌だったかな?」
「歌?」
和也は【勇気一つを友にして】の歌詞を思い出しながら、箱の中を見つめた。
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