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慌てて小林も着た道を、受信機を睨みながらゆっくりと帰る。
「……ここですね」
小林は最も音と光が早くなる場所で足を止め、受信機を左右に振る。
受信機は海に向けられた時に強く反応した。
「まさか海の中じゃ……」
そう呟きながら海に向かって歩く小林を、聖は黙って見送った。
やがて小林は波止場の縁に膝を付き、手を下に伸ばす。
「あった!
ありました!
ビニール袋に入って、波止場の壁に張り付いてます!」
小林は振り向き、膝を付いたまま手に持ったビニール袋を聖に見せる。
そんな小林を見ながら、海に近付かずに済んだ聖は、心の中で胸を撫で下ろした。
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