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額は汗に濡れ、長い前髪が張り付いている。
「……生きた心地がしないよ。
1回1回が物凄く怖くて、心臓が痛い」
「情けねぇな。
無事にここから出られたら、なんかお礼するから頑張れよ」
その言葉を聞いて、和也は利奈を見て微笑む。
「リクエストしていい?」
「ああ、いいぜ。
こう見ても、あたし結構金持ちなんだぜ。
10万ぐらいまでなら……」
和也は利奈が言い終わる前に「君の唇」と言う。
言った瞬間、和也は頭を叩(はた)かれた。
「いったぁ~」
「真面目にやれ!!」
「僕は少しでも場を和(なご)めようと……」
「和む必要なんかねぇだろ!!」
「はいはい」
和也は再び箱に向き合う。
先程よりは、気持ちに余裕が出来ていた。
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