捜索の章 第1部

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額は汗に濡れ、長い前髪が張り付いている。 「……生きた心地がしないよ。 1回1回が物凄く怖くて、心臓が痛い」 「情けねぇな。 無事にここから出られたら、なんかお礼するから頑張れよ」 その言葉を聞いて、和也は利奈を見て微笑む。 「リクエストしていい?」 「ああ、いいぜ。 こう見ても、あたし結構金持ちなんだぜ。 10万ぐらいまでなら……」 和也は利奈が言い終わる前に「君の唇」と言う。 言った瞬間、和也は頭を叩(はた)かれた。 「いったぁ~」 「真面目にやれ!!」 「僕は少しでも場を和(なご)めようと……」 「和む必要なんかねぇだろ!!」 「はいはい」 和也は再び箱に向き合う。 先程よりは、気持ちに余裕が出来ていた。
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